死亡した人の銀行口座はどうすれば解約できる?すぐにお金が必要なときは?預貯金口座の相続手続きをわかりやすく解説

銀行口座は代表的な遺産の一つであり、遺言内容または遺産分割協議によって相続人が承継します。

定期預金は名義変更できる場合もありますが、普通預金は基本的に解約であり、解約金が相続人の口座に振り込まれます。

ただし、名義変更や解約には所定の手続きが必要であり、即日処理ではないため解約金の振込みまでには一定期間も必要です。また手続きの際には戸籍などの添付書類も必要なため、あらかじめ準備しておかなければなりません。

今回は遺産の一つである預貯金口座の解約に焦点を当て、手続きの手順や必要書類をわかりやすく解説します。2019年(令和元年)7月から開始となった「預貯金の仮払い」についても解説しますので、故人の預貯金を葬儀費用に充てるなど、一部だけでも早めに引き出したい方はぜひ参考にしてください。

銀行口座を相続する手順

亡くなった方の口座を相続(解約)する場合、まず銀行窓口に出向いて名義人の死亡を伝えます。

電話による申し出も可能ですが、名義人死亡の事実や口座番号、名義人と申出人の続柄などがわかればその場で口座は凍結されます。

また窓口や電話では手続きに必要な書類(例:相続手続申出書)の案内もあり、窓口または郵送で受け取った後、必要事項を記入して再提出します。

手続き完了までは凍結状態が続くので、ローンや公共料金などの引落しがある場合、一時停止や口座変更の手続きをしておくとよいでしょう。

大まかな手順は次のとおりですが、遺言書の有無や銀行によって内容は若干異なるので注意してください。

遺言書がある場合の相続手順

亡くなった方が遺言書を残している場合は銀行に提出しますが、ご自宅等に保管されていた自筆証書遺言については家庭裁判所の検認手続きが必要です。

また、遺言書とともに提出する書類には以下のようなものがあります。

  • 被相続人名義の預金通帳、キャッシュカード、証書等
  • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本または全部事項証明書
  • 相続人の印鑑証明書
  • 遺言執行者が選任されている場合は、遺言執行者の印鑑証明書と選任審判書謄本

準備に時間がかかるのは被相続人の戸籍謄本であり、出生までさかのぼる必要があるため、転籍している場合など、すべて取得するまでに1ヶ月以上かかることもあります。

役場の窓口は平日しか開いてないため、時間がかかります。

お仕事をされている方は時間の確保がネックになるため、対応が難しい場合は司法書士などに依頼するとよいでしょう。

遺言書がない場合の相続手順

亡くなった方が遺言を残していない場合は遺産分割協議が必要であり、協議内容を記載した遺産分割協議書とともに、以下の書類等を銀行へ提出します。

  • 被相続人名義の預金通帳、キャッシュカード、証書等
  • 遺産分割協議書(相続人全員の実印が必要)
  • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本または全部事項証明書
  • 相続人全員の戸籍抄本または戸籍謄本
  • 相続人全員の印鑑登録証明書

遺言がある場合の手続きと共通するものもありますが、法務局が発行する「法定相続情報一覧図の写し」を提出する場合、戸籍謄本等は不要となる場合があります。

また印鑑登録証明書は発行から3ヶ月や6ヶ月など、銀行によって扱いが違うため、各書類の有効期間も確認しておいてください。

なお、遺産分割協議書を作成していない場合でも、その他の書類を提出すれば、ほとんどの金融機関では相続手続きに応じてくれます。

ただし例外はあるので、事前に確認しておきましょう。

銀行口座の相続手続きに必要な日数

相続人の口座に解約金が振り込まれるまでの日数について、多くの銀行では1週間程度を標準的な日程にしています。

ただし、土日や祝日などの非営業日を挟むことがほとんどなので、10日程度をみておくとよいでしょう。

また名義変更した口座の場合は、通帳や証書を書留郵便で発送されることが多く、振込より1日多く日数がかかります。不在配達になるとさらに時間がかかるため、銀行が提示する日数より2~3は余裕をみておくべきでしょう。

預貯金の仮払いとはどのような制度?

かつては口座の帰属先が決まるまで預貯金の引き出しはできませんでしたが、2019年(令和元年)7月からは預貯金の仮払い制度がスタートしています。

必要書類を揃えて手続きすれば、遺産が未分割の状態でも一定額まで引き出せるため、葬儀費用や被相続人の借金返済など、当座の支払いに有効活用できます。

では、預貯金の仮払いに必要な手続きや、引き出し可能な限度額について詳しく解説します。

預貯金の仮払いではいくらまで引き出せる?

金融機関1行毎に仮払いで引き出せる金額の上限が定められており、「死亡時の預貯金残高×法定相続分×1/3」または「150万円」のうち、いずれか低い方になります。

では、被相続人にA銀行に1,200万円の預貯金があり、配偶者と2人の子が相続する場合を想定し、いくらまで引き出せるのか計算してみます。

【各相続人が引き出せる金額】

  • 配偶者:1,200万円×1/2×1/3=200万円
  • 子供:1,200万円×1/4×1/3=100万円(2人いるのでそれぞれ100万円ずつ)

計算すると配偶者は150万円を超えているので、150万円が上限額となります。

2人の子はそれぞれ150万円以下なので、100万円までが引き出し可能になります。

3人の相続人で合計350万円まで引き出せますが、仮払いの制度は金融機関ごとに適用できるため、取引銀行や口座数が多いほど引き出し可能額も増えていきます。

預貯金の仮払いに必要な書類

一般的な名義変更や解約手続きと同様に、預貯金の仮払いにも所定の手続きが必要です。

手続の際には以下の書類も提出するため、漏れがないよう準備しておいてください。

  • 申請者の本人確認書類
  • 被相続人名義の通帳やキャッシュカード等
  • 被相続人の除籍謄本または戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本及び印鑑証明書

提出書類は銀行によって異なる場合もあるため、事前に確認するとよいでしょう。

預貯金を仮払いする際に気を付けておきたいこと

名義変更や解約に比べて早いタイミングで現金化できますが、預貯金の仮払いを利用する際には以下の点に気を付けてください。

  • 制度の利用を他の相続人にも伝えておく
  • 相続放棄を検討している場合には注意が必要

もし独断で仮払いを行った場合、資金の用途を巡って他の相続人から疑われてしまうケースがあります。何に使うためのお金であるか、他の相続人にも伝えておき、葬儀費用の場合は領収証も保管しておくとよいでしょう。

また預貯金を仮払いした際、少しでも個人的な用途に使うと単純承認が成立します。

単純承認が成立すると相続放棄はできなくなるため、用途には十分注意してください。

どの銀行に口座があるのは不明な場合はどうしたらよい?

現在、ペーパーレスの観点から通帳のない口座も登場しており、実店舗のないネット銀行もよく利用されています。

被相続人の口座がどの銀行にあるのかわからない場合、また取引銀行はわかるが、相続人の知らない口座があると思われる場合は、以下の要領で調べてください。

  • 遺品整理により通帳や銀行からの郵便物を調査する
  • かつての給与口座などから、想定される銀行へ照会書を提出する
  • パソコンやスマートフォンから被相続人あてのメールを調査する

銀行等に照会する場合は、名義変更や解約とほぼ同じ書類の提出が必要になるので、あらかじめ電話で確認するとよいでしょう。

また遺品の中には、口座番号や暗証番号などを記録したメモやノートが見つかる場合もあるので、遺品整理は根気強く行ってください。

まとめ

大切な家族が亡くなると、しばらくの間は葬儀や法要に忙殺されるため、遺言の確認や遺産分割協議は相続開始から2ヶ月後くらいになるのが一般的です。

ただし、遺言どおりに遺産を分けた後で新たな口座が発覚する場合もあり、遺産分割協議が決着しなければ仮払いしかできません。

銀行口座も含め、被相続人の財産調査に不安がある場合や、遺産分割協議が難航する場合は、専門家への相談をおすすめします。

司法書士は代理人としてさまざまな相続手続きができますし、専門家が間に入ることで遺産分割がスムースに解決する場合もあります。
司法書士が代理できる手続きは、紛争性のないものに限ります。

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