自分で行う?専門家に依頼?相続財産調査のポイントを解説

相続が発生した際、被相続人のプラス財産だけでなくマイナス財産も含めた正確な洗い出しが非常に重要です。相続手続きを進める上で、どのような財産があるかを理解していないと、後々のトラブルや不備につながりかねません。本記事では、相続財産調査の方法や注意点、そして自分で行う場合と専門家に依頼する場合のメリット・デメリットをまとめて解説します。

相続財産調査とは

相続財産を正確に把握することで、円滑な遺産分割や相続税申告が可能になります。

相続財産調査とは、被相続人が生前に所有していた財産を全て洗い出す作業のことを指します。ここでは、現金や預貯金、不動産などのいわゆるプラス財産だけではなく、借金などのマイナス財産も対象となります。調査を怠ると、本来分割されるべき財産が見落とされたり、逆に負債が発覚せずに後から支払義務が生じたりするリスクが高まります。調査する財産の範囲を整理し、正確に把握することは、スムーズな相続手続きを実現するために欠かせません。

相続財産の範囲とプラス・マイナス財産の分類

相続財産には、預貯金や不動産、株式などの有価証券といったプラス財産が含まれます。一方で、被相続人が残していた借金や住宅ローンなどの債務はマイナス財産に分類され、相続にはプラスとマイナスの両面がある点が重要です。現金や動産だけでなく、債務も追及して洗い出すことで、総合的な財産状況を誤りなく把握できます。最終的に相続放棄や限定承認を検討する際にも、プラスとマイナスの全体像を正確に把握することが大切です。

相続財産調査が重要な3つの理由

第一に、正確な遺産分割を行うために全ての財産や負債を把握する必要があります。万が一、意図しない財産が見つかった場合、相続人同士の話し合いをやり直すなどトラブルに発展する可能性があるからです。第二に、相続税申告を適切に行うために、課税対象となる財産をもれなく洗い出すことが欠かせません。第三に、相続放棄の判断材料として、プラス財産とマイナス財産の対比を正確に把握することで、相続人が後悔しない判断を下す助けとなります。

相続財産調査の期限と注意点

期限を守らないと、相続税や相続放棄などの重要手続きに遅れが生じる可能性があります。

相続は発生したらすぐに財産の調査を始めることが理想的です。特に相続放棄や限定承認を考える場合には、相続の開始を知った日から3ヶ月以内に手続きする必要があります。相続税が発生する場合は、相続開始日から10ヶ月以内に申告と納税を行わなければなりません。こうした期限を見据えた上で、計画的に財産調査を進めることが、後々のトラブルや余分な税負担を防ぐカギとなります。

相続税申告や相続放棄との関係

相続税申告は、相続発生から原則10ヶ月以内に行わなければならず、全ての財産を把握して税務署に正確に申告する必要があります。申告内容に漏れがあると、後から追加課税が行われるリスクがあるため、期限内に綿密な調査を済ませることが望ましいです。一方、相続放棄は3ヶ月以内と期限が短く、借金や債務の存在を十分に確認できないまま判断を迫られることもあります。調査スケジュールをしっかり立てておくことで、放棄が必要な場面にも慌てず対処できるでしょう。

調査漏れによるリスクとペナルティ

相続財産に関して調査漏れがあると、相続税の過少申告や申告漏れとして扱われる可能性があります。税務署からの指摘や追徴課税の対象になるだけでなく、相続人同士の信頼関係を損ねる原因となりかねません。発覚する時期が遅れるほどペナルティが大きくなり、追加費用もかさむ危険性があります。十分な時間を確保し、あらゆる情報ソースから被相続人の財産状況を洗い出すことが大切です。

【種類別】相続財産調査の進め方

預貯金、不動産、有価証券など、財産の種類に応じて効率的に調査するポイントを解説します。

財産調査では、種類ごとに手続きや確認先が異なります。例えば、不動産がある場合は名寄帳を取得する必要があり、預貯金は各金融機関への問い合わせを通じて残高証明を取得します。有価証券なら証券会社や保管振替機構への問い合わせが必要です。一方で、借金や債務については信用情報機関への照会も検討しながら、どのような契約があったのかを洗い出す必要があります。

預貯金:通帳や全店照会を活用する方法

預貯金の調査では、まず被相続人が所持していた通帳やカードを確認し、記帳内容や残高をチェックします。郵便物や銀行からの通知書にも口座情報が含まれている可能性があるので、細部まで目を通すことが大切です。複数の口座が推測される場合は、金融機関に全店照会を依頼してすべての口座情報を洗い出します。全店照会を活用することで、利用頻度の少ない支店や休眠口座まで漏れなく把握できます。

不動産:名寄帳や固定資産税評価証明書をチェック

不動産については、市町村役場や法務局などで名寄帳や登記簿謄本を取得することで、被相続人が保有していた土地や建物を漏れなく確認します。名寄帳に記載されている不動産が複数の地域や自治体にまたがる場合は、特に注意が必要です。また、固定資産税評価証明書を入手すれば、その資産価値を把握して相続税の算定にも役立てることができます。正確な査定と書類取得が、のちの手続きで混乱を避ける鍵となります。

有価証券:証券会社や保管振替機構への問い合わせ

株式や投資信託、社債などの有価証券を調査するには、証券会社から送付される取引明細や残高報告書をベースにして詳細を把握します。もし証券会社が不明な場合は、保管振替機構へ問い合わせると、被相続人の口座情報を確認できることがあります。株式などは価格変動があるため、申告時期に合わせて評価を行う必要がある点に注意しましょう。うっかり口座残高を見逃してしまわないよう、早めに情報を集めておくことが大切です。

借金・債務:信用情報機関による確認

借金やローンの存在を把握するためには、本人や相続人が信用情報機関へ情報開示請求を行うことが有効です。各種ローンやクレジットカードの契約状況が登録されているため、ここから未払い残高などを確認できます。郵便物や督促状などからも支払い状況を推察できるケースがありますが、見落としがちなので注意が必要です。契約書やカード全般にも目を通し、負債の全容を正確に把握しましょう。

生命保険・死亡退職金:証券類や勤務先への確認

生命保険は契約内容によっては大きな保険金が支払われる可能性があるため、保険証券や保険会社からの通知書を入念にチェックします。あわせて保険料の支払い状況や受取人の指定が正しいかどうかも確認しましょう。死亡退職金は勤務先から支給されるケースがあり、受け取り手続きの方法や金額を勤務先に問い合わせることが重要です。これらは相続財産外となる場合もあるので、受取方法に注意しながら正しく手続きを進めます。

その他動産:自動車や貴金属、貸金庫の調査

車検証の名義から相続対象となる自動車を確認し、資産価値や必要な名義変更手続きを洗い出します。貴金属や宝飾品、骨董品などは個人で把握しにくい場合があり、扱いが曖昧だと相続人間のトラブルに発展することがあります。貸金庫契約があれば、被相続人が保管している書類や貴重品などを確認し、情報を漏らさないように注意が必要です。動産の調査は忘れられがちですが、詳細に調べることで後からの混乱を防ぎます。

相続財産調査を自分で行う場合

相続財産が少ない場合や調査方法に自信がある場合は、自分で調べることも可能です。

自分で相続財産を調査する場合は、金融機関への問い合わせから公的書類の取り寄せまで、手間と時間がかかる点に留意しましょう。調査は一つひとつのステップを踏みながら進める必要があり、情報が不十分だと見落としが生じるリスクがあります。郵便物や書類を整理しながら調べると、通帳や契約書が紛れ込んでいることもあるため、漏れを防げます。少しでも不安があれば、必要に応じて専門家に部分的に相談するのも一つの方法です。

自分で調査するメリット・デメリット

最大のメリットは、専門家に依頼する費用を節約できることです。また、被相続人の生前の資料などを自分で整理することで、思わぬ形見や思い出の品を見つけられる場合もあります。一方で、各種書類の取り寄せや金融機関への問い合わせには相当な時間がかかるため、スケジュール管理が必要です。調査に不備があると、後で修正手続きや追加調査が必要になり、かえって手間やストレスが増える可能性があります。

調査をスムーズに進めるためのコツ

各種郵便物や手帳、日記など、被相続人が残したあらゆる情報に目を通すことで、口座や契約先の手がかりを得られます。思いつく書類をランダムに探すよりも、金融機関の一覧や書類リストを先に作成してから順番に進めるのが効率的です。進捗状況をメモしておくと、何を調べ終えて、どの手続きを残しているのかが可視化され、漏れを減らせます。時間に余裕を持って取り組むことで、焦らずに丁寧に調査できるでしょう。

専門家に相続財産調査を依頼する場合

相続財産の内容が複雑な場合や相続人同士のトラブルが予想される場合は専門家のサポートが有用です。

相続財産が多岐にわたる、相続人同士で意見が合わないなど状況が複雑な場合、専門家に依頼することによりリスクを大幅に軽減できます。弁護士や税理士、司法書士など、それぞれ得意分野が異なるため、依頼先を慎重に選ぶことが大切です。依頼費用は必要なサービス内容や財産規模によって変動しますが、適切に依頼すれば調査漏れのリスクを下げることができます。手続きを効率的に進めるためには、専門家と密にコミュニケーションを取りながら準備を進めましょう。

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司法書士・行政書士に依頼する場合の特徴

司法書士や行政書士は、各種書類作成や相続登記などの実務手続きに長けています。費用は他の専門家と比較的安価な場合も多く、比較的シンプルな相続財産調査においてはコストパフォーマンスに優れた選択肢です。相続人全員の戸籍収集から財産目録の作成、登記移転の申請まで、幅広いサポートを提供してくれることがあります。書類対応を得意とする専門家に依頼すれば、スムーズに手続きが完了しやすくなるでしょう。

弁護士に依頼するメリット・費用相場

弁護士は遺産分割協議や相続人間での紛争対応に強いため、複雑なトラブルが予想される場合に心強い存在となります。費用は着手金と報酬金をあわせて数十万円以上かかることがありますが、問題が深刻化する前に早期解決を図れる点が魅力です。遺産の範囲確定から最終的な協議まで対応してもらえるため、自力で調査する時間と労力を大幅に削減できます。協議が決裂しかねない状況では、弁護士への依頼を前向きに検討する価値があるでしょう。

税理士に依頼するメリット・費用相場

税理士は相続税の計算と申告手続きにおいて専門性を発揮するため、大きな財産がある場合や、評価が難しい不動産などを含む相続では特に有用です。遺産総額に応じて報酬が変動するケースも多いですが、相続税の控除や減額特例などの活用により、結果的に節税効果が得られることもあります。相続税の申告に必要な書類作成を一括して任せられる点は、手間を軽減する大きなメリットといえます。特に資産構成が入り組んでいる場合は、税理士のサポートでミスを最小限に抑えましょう。

相続財産調査で見落としがちなポイント

完璧に見えても、思わぬところで財産や負債が発覚するケースがあります。

相続財産を一通り調べたと思っていても、後日になって隠し口座や契約書が見つかることは珍しくありません。名義預金や家族名義で行われていた口座取引など、表面に出にくい資産にも注意を払う必要があります。マイナスの財産についても、書面を紛失しているだけで存在が発覚しない場合があるため、徹底的な確認が重要です。あらゆる可能性を想定して調査を行うことが、トラブル回避につながります。

名義預金や隠し口座の有無

被相続人本人の名義でなくても、事実上の資金が本人のものであるケースを名義預金といいます。これらは相続財産に含まれる可能性があるため、通帳やキャッシュカードを丹念に調べることが大切です。家庭の事情などにより別名義の口座を使っていたり、昔の勤め先関係の口座が放置されていたりするケースも見られます。浮上しにくい資金を見逃さないために、過去の記録を洗いざらいチェックしましょう。

マイナスの財産が潜むケースと注意点

借金や連帯保証人としての負債は、契約書が見つからないと把握しづらいことがあります。被相続人が口頭でだけ契約していた場合や、家族に知らせずにローンを組んでいた場合もあり得ます。信用情報機関への照会など複数の方法を駆使して初めて存在が明らかになる負債もあるでしょう。潜在的なマイナス財産を見落とさないよう、できる限り広範囲に確認作業を進めることが不可欠です。

相続財産調査後の手続きの流れ

調査結果をもとに、具体的な相続手続きを進めていきます。

全ての財産と債務の把握が終わったら、次に行うのは遺産分割協議や相続税申告などの手続きです。財産目録と相続人の意思を照らし合わせながら、最終的な分割方法を話し合います。相続税の納税義務がある場合には、期限内に正確に計算し、申告・納税を忘れずに実施することが大切です。借金などのマイナス財産が大きい場合には相続放棄や限定承認を検討するなど、調査結果に応じて臨機応変に対応しましょう。

遺産分割協議と協議書の作成

遺産分割協議は相続人全員で話し合い、各財産の配分を決める重要なプロセスです。協議の内容をまとめた遺産分割協議書を作成し、相続人全員が署名・押印することで、公式な合意として機能します。これを怠るとのちの手続きや不動産登記、金融機関での名義変更などがスムーズに進まない可能性があります。協議に時間がかかる場合は、意見をまとめるために専門家を交えることも検討しましょう。

相続税の申告・納税

相続税の申告期限は原則、相続開始を知った日から10ヶ月以内です。財産評価や特例の適用など計算が複雑になるケースもあるため、必要に応じて税理士の助言を得ることをおすすめします。納税資金の準備のためには、不動産を売却したり、他の相続人との間で資金を調達したりする場合もあります。期限を過ぎてしまうと加算税や延滞税がかかる恐れがあるため、早めに準備を進めることが肝心です。

相続放棄・限定承認の判断

既に把握したマイナス財産がプラス財産を上回る場合などは、相続放棄や限定承認の手続きを検討しましょう。相続放棄は家庭裁判所で行い、期限は3ヶ月以内と短いので、調査結果が遅れると判断が難しくなる恐れがあります。限定承認は、財産の範囲内でのみ債務を負担する方法で、借金を背負わずに一定の相続財産を残すことが可能です。自分にとって最適な手続きかどうか迷う場合は、専門家に早めに相談すると安心です。

まとめ・総括

相続財産調査を正しく行うことが、円滑な相続手続きの鍵となります。

相続が発生したら、まずはプラス財産とマイナス財産を含めた全面的な調査を行うことが肝心です。調査は期限を念頭に置きながら進め、もれやすい財産や債務を正確に把握し、相続税や相続放棄の判断を的確に行いましょう。自分で調査を進める場合は、郵便物や各種書類のチェックを入念に行うことがポイントです。財産が複雑な場合やトラブル防止のために専門家の手を借りることで、スムーズな相続を実現できます。

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