突然相続人になった!!相続登記義務化が始まって~知らない土地の所有者になっていた件

令和6年4月1日から相続登記が義務化されました。相続登記の義務化は、法律の改正以降に発生した相続だけを対象とするものではありません。過去の相続についても、3年以内に登記手続きを行わなければ、過料の制裁を受ける可能性があるのです。

法改正以降、市区町村では相続登記未了の不動産について相続登記の申請を促しており、南九州相続相談センターにも「市役所から突然連絡が来た」という相談が寄せられております。

今回は、身に覚えのない土地の相続人になってしまったケースについて、突然相続人になったときに確認すべきポイントと対処法について解説します。相続登記が義務化されたと聞いたが何から始めたら良いのかわからない、市役所から突然連絡が来て困っているという方は、ぜひ参考にしてみてください。

突然相続人になったときに確認すべき4つのポイント

疎遠となっている親族がいる場合、自分が知らないうちに相続人になっているというケースがあります。突然相続人になったときに確認すべきポイントは、次の4つです。

  1. 自分が本当に相続人なのか
  2. 相続手続きはどのように進められているのか
  3. 相続税の申告は必要か
  4. 相続財産の中に不動産は含まれているか

市役所や見知らぬ他人から、自分が相続人であると連絡を受けた場合、まずは何から確認すべきなのでしょうか。それぞれのポイントについて、具体的に解説します。

自分が本当に相続人なのか

あなたが相続人であるとの通知は、間違いや詐欺である可能性もあります。まずは、ご自身で自分が本当に相続人に当たるのかを確認することから始めてください。家族でない、遺言の場合もありますので、十分に注意が必要です。

法律上、配偶者以外の相続人は次の順位に従って決められています。

  • 第一順位:直系卑属(被相続人の子や孫)
  • 第二順位:直系尊属(被相続人の父母や祖父母)
  • 第三順位:兄弟姉妹(被相続人の兄弟姉妹や姪甥)

順位が上の相続人がいる場合、後順位の人は相続人とはなりません。たとえば、被相続人の父(第二順位)が存命の場合、兄(第三順位)は相続人とはなりません。

父母が離婚して父の顔すら知らない場合や疎遠になっている叔父や叔母が亡くなった場合等は、被相続人が亡くなったことを知らずに相続人になっていることがあります。

あなたが相続人であるとの連絡を受けたら、被相続人とされる人の戸籍謄本を確認して、自分が本当に相続人に当たるのかを確認するようにしてください。戸籍(除籍)の請求は各市役所で対応しています。

相続手続きはどのように進められているのか

あなたが相続人に当たることが確定したら、相続手続きがどのように進められているのかを確認しましょう。

通常、相続手続きは、次の流れで進められます。

  1. 遺言書の有無を確認する
  2. 相続人を確定する
  3. 相続財産を調査する
  4. 遺産分割協議を行う
  5. 財産の分配する

被相続人の遺言書がない場合、遺産分割協議には相続人全員の同意が必要となり、1人でも反対すれば分割ができません。そのため、トラブルや手続きの長期化につながる恐れがあります。

生前に遺言を残しておけば、遺産の分け方が明確になり、協議や悩みを避けやすくなります。特に不動産がある場合や相続人同士の関係が複雑な場合は、遺言書の作成を検討することが望ましいです。

遺言には自筆と公正証書の2種類があり、公正証書遺言は費用(数万円〜)がかかるものの、確実性が高くおすすめです。将来の申告や相続放棄の判断、費用負担を軽減する意味でも、生前の準備が重要です。

身に覚えのない相続のケースでは、次のような書面で詳しい説明もなしに遺産分割協議書への署名押印を要求されるケースもあります。

突然のご連絡失礼いたします。

調査の結果、あなたは〇〇氏の相続人に当たることが判明しました。

つきましては、同封の遺産分割協議書に署名・押印のうえ、印鑑証明書を同封して指定の住所までご返送ください。

相続手続きの内容を理解していない場合、相手の指示に従う義務があると考えてしまう方もいらっしゃるでしょう。

ですが、遺産分割協議を成立させるには、相続人全員の同意が必要です。遺産分割協議書に署名・押印する際は、遺産分割の内容を十分に検討したうえで、納得できない場合には自分の意見を主張しなくてはなりません。

法定相続人には次のとおり、相続分が定められています。(但し昭和56年1月1日以降の相続)

 

法定相続人配偶者配偶者以外
配偶者と子ども(第一順位の相続人)1/21/2
配偶者と両親(第二順位の相続人)2/31/3
配偶者と兄弟姉妹(第三順位の相続人)3/41/4

あなたの相続分は、あなたと被相続人との関係、他の相続人が何人いるかによって決まります。たとえば、あなたが被相続人の甥(第三順位の相続人)で、他の相続人が被相続人から見て配偶者と2人の姪の場合、4分の1の相続分をあなたと2人の姪の合計3名で分配することになります。

あなたの相続分:1/4×1/3=1/12

遺産分割協議の内容であなたへの分配が相続分を下回る場合、専門家に相談するなどして協議の内容を争うことを検討すべきでしょう。遺産分割協議において、自分の取り分が法定相続分を下回っている場合には注意が必要です。

遺産分割協議は、相続人全員の合意に基づいて行われるものですが、協議の内容によっては、本来の法定相続分より少ない財産しか分配されないケースもあります。もし、自分にとって不利な内容で遺産分割協議書が作成されている場合には、そのまま署名・押印する前に、専門家に相談するなどして内容を精査することが重要です。

特に、被相続人が生前に特定の相続人へ偏った贈与をしていたり、特定の相続人のみに多くの財産が渡るような協議内容になっていた場合には、最低限の相続財産を確保する権利である「遺留分」を主張できる可能性があります。

この遺留分制度は、配偶者や子などの一部の法定相続人に対して認められており、たとえ遺言や協議によって相続財産の分配が偏っていたとしても、一定の割合までは取り戻すことができる仕組みです。

不利益な協議内容に納得がいかない場合は、遺留分侵害額請求などの法的手段を含めて検討することが、正当な権利を守るための第一歩になります。安易に同意せず、法的な制度を理解した上で、慎重に判断することが大切です。

相続税の申告は必要か

被相続人の遺産を相続する場合「相続発生を知った日の翌日から10ヶ月以内」に相続税の申告と納付を行わなければなりません。

相続税の申告は常に必要となる訳ではなく、遺産総額が基礎控除額を超える場合にのみ申告が必要です。相続税の基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人の人数」となっています。

たとえば、法定相続人が4名の場合、基礎控除額は5400万円となります(3000万円+600万円×4人)。このケースでは、遺産総額が5400万円を超える場合にのみ相続税の申告が必要です。

相続税の申告期限を過ぎると、加算税や延滞税が課されます。自分が相続人となることがわかったら、相続税の申告が必要か否かを確認して、申告が必要な場合には速やかに期間内に申告手続きを行ってください。

相続財産の中に不動産は含まれているか

相続財産の中に不動産が含まれている場合、相続登記の手続きが必要です。相続登記とは、被相続人名義の不動産を相続人の名義に変更する手続きのことを言います。

2024年4月1日から、相続登記が義務化されました。相続や遺贈によって不動産を取得した場合には、所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請を行わなければ、10万円以下の過料を科される可能性があります。

市役所や見知らぬ親族からの電話や手紙の通知で不動産の相続を知った場合でも、慌てる必要はありません。相続登記の申請期限は、相続開始の日からではなく、所有権を取得したことを知った日から3年です。

自分が本当に相続人に当たるのか、遺産分割協議の内容に問題はないのかなどを確認したうえで、必要に応じて手続きを進めるようにしてください。相続登記の手続きが必要な場合には、登記の専門家である司法書士への相談をおすすめします。

 

突然相続人になったときの対処法

突然相続人になったときの対処法としては、次の3つが挙げられます。

  • 相続放棄する
  • 期限内に相続手続きを進める(相続税の申告・相続登記)
  • 専門家に相談する

 

相続放棄する

突然相続人になってしまった場合、「手続きに巻き込まれたくない」「被相続人の債務(借金)を背負いたくない」と感じる方も多いでしょう。そういったケースでは、相続放棄という選択肢があります。

相続放棄とは、被相続人の財産を一切相続せずに放棄するための家庭裁判所での手続きです。相続放棄をすると、プラスの財産(不動産や預貯金など)だけでなく、マイナスの財産(借金などの債務)も含めて、すべての相続財産を引き継がないことになります。

相続放棄を希望する場合は、相続の開始を知った日から3ヶ月以内という厳格な期間内に、家庭裁判所へ申述する必要があります。この「3ヶ月の熟慮期間」と呼ばれる期間内に放棄の手続きを行わなければ、原則として相続を承認したものとみなされてしまいます。

 

相続に関しては、以下の3つの方法から選ぶ必要があります。

  • 相続放棄:すべての財産と債務を放棄する。3ヶ月以内に家庭裁判所で申述。
  • 限定承認:相続によって得た財産の範囲内でのみ債務を引き継ぐ手続き。資産と負債が不明な場合に有効。
  • 単純承認:財産も債務もすべて無条件で引き継ぐ。熟慮期間を過ぎたり、相続財産を処分してしまった場合などに、意図せず適用されることもあるため注意が必要です。

いずれの方法を選ぶかによって、後の手続きや責任の範囲が大きく変わります。特に単純承認は、債務が多かった場合でも全責任を負うことになるため、慎重な判断が求められます。

早めに判断し、適切な手続きを進めることで、不要なトラブルや負担を回避できます。判断に迷ったら、専門家への相談を検討するのが安心です。

また、相続放棄以外にも「限定承認」という手続きがあります。これは、相続によって得た財産の範囲内でのみ債務を返済するという方法で、プラスとマイナスの財産を比較した上で選択したい場合に適しています。

被相続人と疎遠だった場合や、多額の債務を相続するリスクがある場合には、相続放棄や限定承認によって不要な負担を避けることが可能です。いずれにしても、放棄や限定承認の判断・申述には専門的な知識と正確な手続きが求められるため、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

相続手続きを期限内に行うために

手続き期限備考
相続税の申告10ヶ月以内基礎控除超過時のみ必要
相続登記3年以内不動産の取得を知った日から起算
相続放棄3ヶ月以内家庭裁判所で申述

まず、死亡届の提出や葬儀の準備といった初期対応が済んだ後、相続人は具体的な財産の確認や書類の整理に取りかかります。相続税の申告は、被相続人が亡くなったことを知った翌日から10ヶ月以内に行う必要があります。また、土地や建物といった家などの不動産を相続した場合は、相続や遺贈により所有権を取得したことを知った日から3年以内に、法務局での名義変更(相続登記)の手続きを終える必要があります。

相続手続きを進める上では、自分が法定相続分に基づく相続人に該当するかどうかや、他の相続人との間での権利関係の整理が必要です。財産分割の合意が取れない場合、家や土地などの名義変更ができないといったトラブルに発展することもあります。

これらの手続きには、多くの書類の準備が必要で、内容によっては専門的な判断も求められます。

スムーズに進めるためには、司法書士や税理士などの専門家に依頼してサポートを受けることも検討しましょう。相続財産の内容や評価に応じて、登録免許税・司法書士報酬・税理士費用などの費用がかかります。特に、不動産の評価額が高い場合や遺産分割が複雑な場合には、費用負担が大きくなることもあるため、事前の見積もりや資金準備も重要です。期限を過ぎてしまうと、権利の主張ができなくなるケースや、余計な税負担が発生することもあるため、早めの対応が肝心です。

自分が相続人に当たるのか、相続手続きがどのように進められているのかを確認するとともに、手続きの期限が過ぎてしまわないよう十分に注意しましょう。書類の作成にも時間がかかることが多いようです。

専門家に相談するメリット

  • 手続きの正確性が確保される
  • 不要な相続リスクや債務の回避
  • 遺産分割協議書のチェック・アドバイス
  • 税金の申告漏れを防止

複雑な事情が絡む場合や、初めての相続手続きで不安な場合は、司法書士・税理士などの専門家へ相談することをおすすめします。

まとめ

  • 相続人になった場合、まずは自分が本当に該当するか確認しましょう。
  • 相続放棄や限定承認など、選べる選択肢があります。
  • 期限を過ぎると過料や相続税の加算税が発生します。
  • 不安な場合は早めに専門家へ相談しましょう。

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