相続登記が義務化に。知っておきたい農地の相続の流れとは

日本では、全国的に所有者不明土地や空き家が増加傾向にあり、その活用や問題の根本的な解消が求められています。
その対応策の一つとして、不動産を相続した場合には、相続登記の申請が義務化される法律が2021年に成立しました。
相続登記の申請の義務化が実施されるのは、改正法の成立から3年以内とされています。
よって、出来るだけ早くから、ご自身が直面する相続について確認しておくことが大切です。
今回のコラムでは、農地の相続をテーマとして、手続きの手順などをみていきます。

1.農地が遺産に含まれる場合にどうすればよいか

農地が含まれる遺産の相続人となった場合には、どのような選択肢があるのでしょうか?

1-1.相続して農地として使用する

遺産に含まれる農地は、相続人が相続して農地として引き続き使用することができます。
ただし農地は、農業を保護する必要性があることから、通常の土地に比べて多くの制約があります。簡単にいえば、所有者個人の考えだけで自由に活用できるわけではない、ということです。
農地を売買で取得する場合などには、市区町村に設置されている「農業委員会」の“許可”を得なければならないとされています。
もっとも相続や時効取得、裁判所が関与する離婚調停などよって農地を取得する場合には、“許可”までは求められず、「農業委員会」へ“届出”をすることで済みます。
遺産のなかに含まれる農地をそのまま相続する場合の手順については、後程確認していきます。

1-2.農地以外に転用する

農地を宅地などに転用して活用することも選択肢になります。
ただし、どのような農地でも転用できるわけではありません。農地は、農地法の厳しい制約を受けるためです。
農地の転用は、一定の要件を満たした農地に限り、原則として農地転用の“許可”を得て認められます。

1-3.売却する

農地の相続人が農業に従事しない場合には、一旦相続してから、ほかの農業従事者に農地を売却することもできます。この場合でも、農地の売却に関しては“許可”が必要になります。
また農地転用の厳しい要件をクリアできる場合であれば、相続して宅地などに転用する許可を得てから、第三者に売却することもできます。

1-4.相続放棄する

相続人が農業を継ぐ意思がなく、農地の価値も乏しく売却も難しいようなケースでは、相続人には固定資産税や管理などの負担のみがのしかかることになります。
このようなケースでは、相続放棄することも一つの選択肢です。
なお相続放棄は、相続開始を知った時点から3か月以内に家庭裁判所に相続放棄の申述をして行わなければ効力は生じません。
しかし相続放棄を選択する場合には、慎重に検討を重ねた上で判断することが大切です。
なぜなら農地を相続したくないからといって相続放棄すれば、農地以外の預貯金などの遺産も受け取ることができなくなってしまうためです。
また、相続放棄によって相続人がいなくなる場合には、農地の管理義務からは免れられないリスクもあります。家庭裁判所に相続財産管理人の選任を申し立てることにより管理義務から免れることもできますが、管理人への報酬は負担しなければならなくなります。

2.農地相続の手続きの手順

農地を相続した場合には、次のような流れで手続きを進めるとスムーズです。

2-1.遺産分割協議

亡くなった農地所有者の遺言書が残されていない場合などには、相続人全員で「誰がどの遺産をどれぐらいもらうか」を遺産分割協議で決めなければなりません。
遺産分割協議などで農地の相続人が決まれば、続いて法務局に登記名義を変更する申請をします。

2-2.相続登記の申請

日本では不動産に関して登記制度が採用されているので、不動産の所有者などが変われば法務局に登記を申請して名義変更を行う必要があります。
相続登記は、相続を原因として、不動産の所有者が被相続人から相続人に移転したことを示す登記です。登記が完了すると、不動産の所有権登記名義人が被相続人から相続人に名義変更されます。
なお農地について登記をする場面では、農地法で定められている農業委員会の“許可”を得ていることを示す書面が必要になることも少なくありません。たとえば農地から宅地に地目変更する登記を申請する場合には、農業委員会の許可書を提供しなければなりません。
しかし農地をそのまま相続する場合には農業委員会の“許可”は必要ないので、他の必要書類が準備できれば相続登記を申請することが可能です。

2-3.農地法の届出

相続登記に続いて、農地法の届出を行います。
農地をそのまま相続する場合には、農業委員会の“許可”は不要ですが、“届出”は必要です。
この届出の期限は、相続人が農地の相続が開始したことを知った時から10か月以内とされています。
遺産分割協議がまとまらず届出の期限を過ぎそうなときには、一旦10か月以内に相続人全員で届出を行います。そして後日、農地を取得することになった相続人が再度農業委員会に届出を行う必要があります。
このような手間を省いて届出を一度で済ますためにも、遺産分割協議は、遅くとも相続開始から10か月以内に成立させるとよいでしょう。
また農地法の届出の際には、相続登記が完了していることが分かる登記記録が基本的に必要になります。したがって相続登記についても、相続開始から10か月以内には済ませておく方が無難です。

2-4.相続税の申告

農地を含む遺産の総額が相続税の基礎控除額を超える場合には、相続税を申告・納付しなければならないのが基本です。
しかし農地に関しては、相続後も相続人等が農業を継続する場合には、相続税納税猶予制度を利用できる可能性があります。
農地の相続税納税猶予制度は、農業を継続する相続人等が、相続税を支払うために農地を売却せざるを得なくなるような事態を避けるための制度です。
一定の要件を満たす場合には相続税の納税が猶予され、猶予された相続人が亡くなれば納税は免除されます。
つまり農業をそのまま引き継いだ相続人は、農地に関する相続税を納めずに済む可能性があるということです。

3.相続登記の義務化

冒頭でもお伝えしましたが、法改正によって相続登記が義務化されることになりました。農地を含む遺産を相続した場合には、免税の特例なども上手に利用して相続登記を申請するとよいでしょう。

3-1.相続登記の義務化

改正法が施行されると、農地などの不動産を相続した場合には、取得した相続人は「取得を知った日から3年以内」に相続登記を申請しなければならなくなります。
正当な理由がないのに相続登記を申請しなかった場合には、過料の罰則が科される可能性もあります。
つまり相続登記をせずにいれば、社会的な不利益が生じるだけでなく、自分自身の不利益につながるので注意が必要です。

3-2.相続登記と登録免許税

価値の乏しい農地を相続した場合には、「相続登記を申請すれば登録免許税を支払わなければならなくなって、かえって損だ」と感じるケースもあることでしょう。
しかし特例が適用できるときには、登録免許税が免除されることもあります。
特例では、相続登記の促進を特に図る必要がある土地であると定められており、課税の基準価額が10万円以下である場合には、登録免許税は免除されることとしています。
また土地を取得した相続人が登記をせずに死亡した場合にも、その死亡した相続人への相続登記の登録免許税は免除される特例があります。

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