相続した土地を売却したい!手続きのすべて

相続によって取得した財産を売却する場合、相続登記や特例適用など普段の不動産取引にはない手続きが必要です。さらに、税金の仕組みや申告期限など注意すべき点も多く、戸惑う方も少なくありません。相続発生から時間が経つと売却のタイミングを逃すこともあるため、しっかりと手順を把握しておくことが大切です。

この記事では、相続した財産を売却する際に押さえるべきポイントや特例、必要手続きについて、ステップごとにわかりやすく解説します。将来のトラブルや税負担を抑え、スムーズに売却を進めるための参考にしてください。知っておけば得をする税制優遇や手続きの流れを、ぜひここで整理していきましょう。

1. 相続財産の売却とは?基礎知識を押さえよう

相続財産を売却する上で、まず不動産と動産の違い、そして不動産の場合には相続登記が必要になる点を理解しましょう。

相続財産には主に土地や建物などの不動産と、自動車や宝飾品などの動産が含まれます。売却手続きは不動産と動産で大きく異なり、不動産の売却では相続登記を済ませることが必須となります。相続登記を行わずに売却を進めると法律上のトラブルが発生するリスクが高まるため、手続きの順番を守ることが大切です。まずは相続の対象となっている財産がどのような性質のものか正確に把握するところから始めましょう。

1-1. 相続財産に含まれる不動産と動産の違い

不動産とは土地や建物などの固定資産を指し、動産は自動車や家具、株式など比較的容易に移転が可能な資産を指します。相続財産として取得した不動産の売却手続きには相続登記や仲介会社との契約など多くのステップが必要です。一方、動産の場合は譲渡手続きが比較的簡単ですが、評価方法や保管状況などによって売却価格が大きく変わることがあります。どちらの場合も、市場調査や専門家への相談を通じて適正価格や手続きを把握することが重要です。

1-2. 不動産売却時に必須となる相続登記と手続き

不動産を相続したら、まずは法務局で名義変更を行う相続登記を完了させる必要があります。相続登記には被相続人(亡くなった方)の戸籍謄本や住民票の除票、相続人全員の印鑑証明書など、多くの書類の準備が求められます。相続登記が完了してはじめて売却の交渉や買主との契約が可能となり、未登記の状態では正当な所有者としての権利を主張しにくくなるため注意が必要です。必要書類の詳細や手順は法務局や専門家に確認し、進め方を間違えないようにしましょう。

2. 相続した不動産を売却するときにかかる税金

相続した不動産を売却する際には、「所得税」や「住民税」など複数の税金・費用が発生するため、あらかじめ全体像を理解しておかないと、予想外の支出に戸惑う可能性があります。

具体的には、譲渡所得にかかる「譲渡所得税」と「住民税」、契約書に関する「印紙税」、名義変更時の「登録免許税」などがあり、それぞれ課税条件や計算方法が異なるため、複雑な面もあります。損をしないためには、税金の仕組みやシミュレーション(試算)を通じた事前の資金計画が不可欠です。

2-1. 譲渡所得税と住民税の基本的なしくみ

相続不動産を売却して利益(譲渡所得)が生じた場合には、譲渡所得税と住民税が課税されます。

譲渡所得は以下のように計算されます。

譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)− 特別控除(最大50万円)

ここでポイントとなるのが、譲渡所得に対して最大50万円の特別控除が適用される点です。これは、どのような理由であれ不動産を譲渡した際に、一定の条件を満たす場合に使える制度で、課税対象の所得を軽減するのに役立ちます。

また、譲渡所得にかかる税率は、不動産の所有期間によって異なります。相続による取得の場合には、被相続人(故人)がその不動産を取得した日からの所有期間が通算されるため、税率が変わる可能性があります。たとえば、被相続人が5年以上所有していた場合は「長期譲渡所得」として税率が低く抑えられる場合があります。

譲渡所得にかかる所得税と住民税の税率(概算)

  • 長期譲渡所得(5年超):所得税15% + 住民税5%

  • 短期譲渡所得(5年以下):所得税30% + 住民税9%

正確な税額を把握するには、故人が不動産を取得した時期や購入費用、修繕費などの資料をしっかり確認することが大切です。

2-2. 印紙税や登録免許税などその他の主な費用

売却に際しては、契約書に貼付するための印紙税が必要です。これは、売買金額に応じて税額が決まっており、売却契約書を有効にするために必ず必要な費用です。また、相続によって所有権を取得した不動産については、名義変更の手続き(相続登記)に伴い、登録免許税が発生します。これは不動産の固定資産評価額を基に算出されます。

これらの費用は売却に付随して必ずかかるものであるため、事前に見積もりを取っておくことで、全体の支出計画が立てやすくなります。

さらに、条件によっては各種の税制優遇措置や特例(例:空き家の3,000万円特別控除など)を受けられる可能性もあります。適用要件を確認し、忘れずに申告時に反映させましょう。

3. 相続財産を売却するときに使える主な特例

特例制度を上手に活用することで、譲渡所得税を大幅に軽減できる可能性があります。

相続による不動産売却には、取得費加算の特例や3,000万円特別控除など、いくつかの優遇制度が用意されています。要件を満たした場合には課税対象額が大きく下がるため、売却益にかかる税負担を減らすことが可能です。ただし、適用には相続開始から3年以内であることや被相続人の使用状況といったさまざまな条件があるため、あらかじめ確認しておくことが重要になります。

3-1. 取得費加算の特例で譲渡所得税を抑える

取得費加算の特例は、相続で取得した財産を売却する際に、支払った相続税の一部を不動産の取得費に加算できる制度です。具体的には、相続税申告期限の翌日以後3年以内に売却すると、加算の対象になります。譲渡所得の計算で取得費が増えるほど課税対象となる譲渡益が小さくなるため、税負担の軽減につながります。ただし、事業所得や雑所得には適用されず、譲渡所得のみが対象となる点に注意しましょう。

3-2. 被相続人の居住用財産(空き家)で使える3,000万円特別控除

被相続人が居住していた住宅が空き家となった場合には、一定の要件を満たすことで3,000万円特別控除を受けられる場合があります。昭和56年より前に建築された住宅など、耐震基準や建物の状態に関する条件もあり、満たせない場合は控除が受けられません。空き家を解体して更地にしてから売却するケースも含まれるため、具体的な制度要件をしっかりと確認しましょう。空き家特例を活用できれば売却益を大幅に圧縮できるため、相続人にとって大きなメリットとなります。

3-3. マイホームを売却したときの3,000万円特別控除をどう使う?

一般的に居住用不動産を売却した場合に利用できるのが3,000万円特別控除で、相続した不動産でも要件を満たせば適用を受けられる可能性があります。譲渡所得から3,000万円を控除できるうえ、所有期間の長さに関わらず利用できる点が特徴です。ただし、同じ特例を連続して利用することはできないケースが多く、直近でマイホーム特例を使っていると適用できない場合があります。利用には確定申告が不可欠なので、要件と併せて申告手続きをしっかりと確認しましょう。

4. 特例を適用するための手続きと必要書類

特例を活用するためには、書類の準備や期限までの確定申告が必須です。

特例を受ける場合には、相続登記や遺産分割協議の書類のほか、確定申告で提出する添付書類も抜け漏れなく揃える必要があります。準備が不十分だと特例が認められないだけでなく、後から追加書類を求められるなど手間が増えることも考えられます。事前に税理士などの専門家に相談し、必要書類や申告期限をリスト化して進めるのがおすすめです。

4-1. 確定申告に必須の書類と申告方法

特例適用のためには、譲渡所得の計算明細書や売買契約書の写し、相続関係を証明する戸籍謄本などが必要になります。さらに、取得費加算の特例を受ける場合は、支払った相続税の額を証明できる書類が求められます。電子申告を利用する場合でも、書類の電子データ化や提出時のチェックが必要となるため、申告方法に応じた準備を早めに行いましょう。

4-2. 遺産分割協議書や相続関係図の準備

相続人が複数いる場合、不動産を売却する前に遺産分割協議を行い、どの相続人が不動産を相続するのかを明確にすることが非常に重要です。この協議の内容をまとめた遺産分割協議書や、家族構成を整理した相続関係図がなければ、名義変更や確定申告といった法的手続きをスムーズに進めることができません。

また、これらの書類は相続人間のトラブルや紛争を未然に防ぐ役割も果たします。作成の際は、すべての相続人が内容を十分に理解し、納得したうえで署名・押印を行うことが不可欠です。

なお、遺言書が存在する場合は、その内容が遺産分割協議に優先されることもありますので、遺言の有無を必ず確認しましょう。また、相続放棄を希望する相続人がいる場合には、家庭裁判所での正式な手続きが必要となり、その結果を踏まえて遺産分割の範囲や内容も調整する必要があります。

4-3. 申告期限と期限内に行うべき手続き

譲渡所得の確定申告は、基本的に売却した年の翌年3月15日までに行う必要があります。相続税に関する申告との兼ね合いもあり、取得費加算の特例などを受けるためには相続税の申告期限翌日以降3年以内に売却を済ませることが条件となります。期限を過ぎてしまうと特例が適用されないこともあるため、スケジュール管理が非常に重要です。特に不動産の売却には買主の都合や手続き期間など外部要因もあるため、早めに計画を立てておきましょう。

5. 3年以内の売却が推奨される理由

「相続した家を3年以内に売却」することは、税制上さまざまな恩恵を受けられる可能性があるため、非常に有効な選択肢です。

具体的には、相続税の申告期限(=相続発生から10か月後)の翌日から3年以内に売却することで、以下のような特例の適用対象になりやすくなります。

  • 取得費加算の特例:支払った相続税の一部を譲渡所得の取得費に加算できる制度
  • 被相続人の居住用財産(空き家)に関する特例:最大3,000万円の譲渡所得控除が可能

これらの特例をうまく活用することで、譲渡所得税の負担を大幅に軽減できる可能性があります。

また、相続した不動産は、長期間所有し続けることで以下のようなリスクや負担が増していきます:

  • 固定資産税や管理費などの維持コスト
  • 空き家として放置されることによる老朽化や近隣トラブルのリスク
  • 地価や需要の変動による市場価格の下落

そのため、相続直後の状況が整っているうちに売却を検討することで、管理の手間を軽減し、最適な売却時期を逃さずに済むというメリットもあります。

ただし、「早く売却しなければ」と焦るあまり、相場とかけ離れた価格設定や、買い手に不利な条件で契約をしてしまうリスクもあります。売却を急ぐ場合でも、地域の需要や相場の動向をしっかり調査し、信頼できる専門家に相談しながら進めることが重要です。

5-1. 取得費加算の特例の要件と期限を理解する

取得費加算の特例は、相続税申告期限の翌日から3年以内に売却した場合に限り、支払った相続税の一部を取得費に加算できます。これにより課税対象の譲渡所得を抑えられるため、結果的に納税額を軽減可能です。一方で、期限を過ぎたあとの売却には適用されないため、相続した不動産を売るかどうかの判断は早めに行わなければなりません。要件を満たしているか迷ったら、税理士や不動産業者に連絡して確認するのがおすすめです。

5-2. 空き家特例を適用するための注意点

空き家特例を活用するには、被相続人が一人で居住しており相続後に空き家になった不動産であるなど、法令で定められた条件を満たす必要があります。物件の老朽化や耐震基準に関わる要件もあるため、リフォームや解体など追加の手間や費用が発生する場合もあります。また、こちらも3年以内の売却が前提となることが多いので、複数の専門家から積極的に情報収集を行い、余裕をもって準備を進めることが重要です。

6. 相続財産を売却する手順と注意点

実際の売却手続きでは、相続登記や共有名義の調整など、さまざまなステップを理解しておくとトラブルを回避しやすくなります。

相続登記が完了したら、不動産会社へ査定を依頼して売却活動を開始します。共有名義の場合は全員の合意や書類への署名・押印が必要になるので、早めに意見をまとめましょう。株式や預貯金などの動産についても、名義変更や金融機関への届出など特有の手続きがあるため、確認を怠らないようにします。売却手続きにかかる時間は物件によって異なりますが、計画的に進めればリスクを最小限に抑えられます。

6-1. 相続登記から売却までの流れを把握する

まず相続登記できちんと名義を自分(または共同相続人)に変更し、次に不動産会社へ査定を依頼して市場価格を見極めるのが一般的な流れです。買い手が見つかったら売買契約を締結し、決済と同時に物件を引き渡します。ローンなどの担保が付いている場合は抵当権抹消手続きも必要となるため、スケジュール調整や費用計算を入念に行うことが重要です。全体のプロセスを把握しておけば、書類を揃えるタイミングや必要費用をスムーズに把握できます。

6-2. 共有名義の場合の売却手続きとトラブル回避

相続した不動産が複数人の共有名義となっている場合、売却には原則として共有者全員の同意と意思表示が必要です。一部の相続人が反対すると手続きが進まないため、相続財産の分割方法を明確にしておくことが大切です。また、共有者間で意見がまとまらない場合は、専門家の助言を受けながら調整を図る必要があり、通常より時間と費用がかかるケースもあります。事前に協議書を作成しておくことで、のちのちのトラブルを回避しやすくなります。

6-3. 不動産以外の財産(株式・預貯金など)を売却する際のポイント

株式や投資信託などを相続した場合には、証券会社での名義変更を行ったうえで、売却手続きを進める必要があります。預貯金は金融機関ごとに解約または名義変更を行い、相続税や譲渡所得との区別をつけておくと後々の税務上の手続きがスムーズになります。特に株式などの売却益に対しては譲渡益税がかかる点を理解し、不動産とは異なる税制を把握することが重要です。相続手続き全体を見渡しながら、一括で進めるか段階的に進めるかを考えて動くと効率的です。

7. よくある質問

相続財産の売却時によく寄せられる質問と、その回答をまとめました。

事前に疑問を解消しておくことで、申告や手続きの際に戸惑わずに進められます。特に納税のスケジュールや登記の要否、特例の併用可否については間違えやすいポイントです。ここでは代表的な質問をQ&A形式で取り上げ、基本的な情報をお伝えします。

7-1. 譲渡所得税や住民税はいつ・どのように納付するの?

不動産を売却した年の翌年に確定申告を行い、その申告期限と同じ3月15日までに納税するのが原則です。申告後、実際の税額が確定するため、納付書を使って指定された金融機関やコンビニなどで納付します。電子申告の場合でも電子納税が可能で、銀行口座から直接引き落とすなどの方法も選択できます。納付期限を過ぎると延滞税が発生するため、余裕を持って手続きを行いましょう。

7-2. 相続登記を省いて売却することはできるの?

原則として、相続登記をしていない不動産を売却することはできません。法的には相続人と購入希望者の間で売買契約を結んだとしても、名義が被相続人のままだと所有権移転登記がスムーズに進まないからです。まれに契約自体は成立しても、買主が住宅ローンを組めないなど実務上のリスクが大きく、トラブルの原因になることがあります。安全に売却手続きを進めるためにも、まずは相続登記を完了させるのが基本です。

7-3. 複数の特例を同時に使えるケースと使えないケース

取得費加算の特例と3,000万円特別控除は、同時に適用が認められる場合があります。しかし、空き家特例とマイホームの3,000万円特別控除については、要件が重なることが難しく併用できないケースも多いです。また、過去に特例を利用している場合、再適用まで一定期間を要する場合があるため、事前に税務署や専門家へ確認しておきましょう。複数の制度を正しく組み合わせることで大きな節税効果を得られる一方、不適切な申告はペナルティの対象となる可能性もあるので注意が必要です。

8. まとめ:相続財産の売却を成功させるために

相続後の売却は手続きや税金の知識が欠かせませんが、正しい方法で進めれば大きなメリットを得られます。

相続登記や特例の申告、複数の相続人の調整など、やるべきことは多岐にわたります。しかし、取得費加算の特例や3,000万円特別控除などの制度をうまく活用することで税負担を減らすことが可能です。期限を守りつつ書類や手続きを正確に進めるためには、必要に応じて司法書士、税理士や不動産会社など専門家の力を借りるのも一つの方法です。ぜひ本記事を参考に、スムーズな相続財産の売却を目指してみてください。

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